韓流ドラマにみるアンドロイド事情
今回は、韓流ドラマを例題としてアンドロイド事情について話をしていきます。
【ロボットじゃない~君に夢中!~】
まずは「仮面の王」に出演していたユ・スンホ主演の韓流ドラマ「ロボットじゃない~君に夢中!~」です。
この物語は、大企業の御曹司であるキム・ミンギュという主人公が、幼い時に両親を事故でなくします。
その事故は父親の友人である人物が会社を乗っ取ろうとして仕組んだ事故(殺人)だったのです。
しかも、その息子とは幼馴染。
その事故によって主人公は人間不信となって人間アレルギーという病気になってしまいます。
他人の皮膚などに接触すると、呼吸困難になり皮膚が腫れてただれてしまいます。
命の危険さえあるアレルギーなのです。
ですから、彼は父から引き継いだ会社の議長をしていますが、出勤するときは革の手袋をつけ警棒を持って、他人と接触しないようにしています。
そんな金融会社の御曹司で人間アレルギーである主人公が、アンドロイドの実験に付き合うことになります。
アンドロイドを開発した博士が開発の資金が欲しかったので資金を出す相手を探していたからです。
博士はキム・ミンギュに白羽の矢を立てたのです。
しかし、実験開始当日になって研究員の一人がメンテナンス中のアンドロイド(アジ3)に
誤って水を掛けてしまいます。
急ぎ修理をしようとしますが、部品の予備がなく発注すると数日かかってしまう。
けれど、アンドロイドのアジ3をミンギュに渡さなくてはならない。
困った博士はある作戦を考えつきます。
それはアジ3そっくりの顔をした博士の元彼である女性(チョ・ジア)に急遽代役を依頼するのです。
つまり、ジアにお金を払うからアンドロイドの振りをしてくれと頼むのです。
お金が必要だったジアはその申し出を受けてしまいます。
なぜアジ3とジアがそっくりなのかというと、博士が元彼であるジアをモデルとしてアジ3を作ったからです。
こうしてチョ・ジアはアジ3というアンドロイドの振りをしてキム・ミンギュと過ごすことになるのです。
そして人間アレルギーのはずのキム・ミンギュはアジ3(本当は人間のジア)と接触してもアレルギーを発症しなくなるのです。
そのうちに、人間アレルギーを持つミンギュとアンドロイドの振りをしているジアはお互いに惹かれていくのです。
ですが、実験が終わり二人に別れが来ます。
アジ3に恋してしまったミンギュはアジ3が忘れられません。
そんなときアジ3そっくりの女性と遭遇します。
それはアジ3を演じていたジア(人間)だったのですが、秘密を守るために知らない振りをします。
しかし、やがてジアがアジ3を演じていたこがばれてしまい、騙されたことにミンギュは傷つきます。
ジアはミンギュへ献身的に食事を作たりします。
そうしたすったもんだの末に二人は人間の男女として恋を成就させます。
【奥様はサイボーグ】
こちらのドラマはロボットを研究開発している博士が亡くなった自分の妻にそっくりのロボット(アンドロイド)を作ることから騒動が始まります。
博士とボーグマム(妻でありロボット)にはひとり息子がいて、いつも幼稚園に送り迎えをしています。
そこでセレブママたちとの付き合いに巻き込まれます。
融通が利かず空気も読めないボーグマムは孤立します。
嫌味なセレブママたちと孤軍奮闘するボーグマムですが、博士のほうは自分で作ったロボットにも関わらすボーグマムと過ごすうちに恋心が芽生えていきます。
ボーグマムがロボットであることは秘密なのですが、セレブママたちのボス格の人物がボーグマムを落し入れようと企みます。
やがてボーグマムの秘密を突き止めてしまうのです。
こちらのドラマはどちらかというとちょっとコミック系の色合いがあります。
恋愛ドラマというよりも、セレブママたちとの奮闘を描いたドラマという感じです。
【ふたつのドラマに共通すること】
このふたつの韓流ドラマに共通することがあります。
それは、どちらもロボット(アンドロイド)を作った目的が愛する人を復活させたいという愛情からきていることです。
別れた彼女。
天国へ行ってしまった妻。
ロボットを開発し創造する動機が人間への愛であるという点が同じです。
やはり、これは人類に共通する気持ちなのだと思います。
もし、生きていたときそっくりの愛する人が蘇るなら、ロボットでもいいと思うのが人間というものではないでしょうか。
もっというと愛する人を復活させて、もう一度逢いたい暮らしたいと考えるのが人間の心情というものだと思います。
日本のアニメ界を切り開いた手塚治虫の「鉄腕アトム」は、失った子供をロボットとして蘇させることでした。
これほど強い動機はないように思えます。
しかし、このふたつのドラマにあったような人間そっくりの技術はまだありません。
やはり一番難しいのが人間の顔です。
人間の顔には表情があり、繊細で微妙な気持ちが現れます。
3Dでも、景色や人間の体はリアルに描けても顔の表情だけはどこか作り物感が残ります。
それでも、数年か数十年か分かりませんが、人間と見分けがつかないアンドロイドは必ず出現するでしょう。
【そっくりのロボットが数多く出現したら】
技術が発達し、誰もが失った家族などをロボットとして蘇させることが可能な社会となったとしたら、それはそれで困った社会かもしれませんね。
だって、人間は歳を取って死んでいくのに、ロボットはいつまでも歳を取らないのですから。
主のいなくなった世界で生き続けることができるのですから。
もちろんバージョンアップや修理などは必要でしょうけど。
そのときにどうするか?
主が死んだら、ロボットを廃棄することにするのか。
ロボットが自然と壊れるまで存在を許容するのか。
これはまさしく映画「アンドリュー」の世界がやがてやってくることを意味しています。
アンドリューは主人たちが死んで世代が代わっても生き続け、自らバージョンアップして生存していきます。
このままAIなどの技術が進んでいけば、ロボット自身が自分の体を修理したり、バージョンアップしたりすることも可能になります。
それを生命体の人間が許すかどうか。
未来社会はどちらを選択するでしょう?
あなたならどう考えますか?
とても難しい判断です。
でも、わたしから一つ言いたいことは、どんなに人間そっくりのロボットやアンドロイドが登場しても、それは生命体とは認められないということです。
生命体ではないが、人間とは別の意味で存在を認めるという方向が良いと考えます。
人間の友として、人間を援ける存在としてのロボット権を認めることがいいのではないかと考えています。
お読みくださり、誠にありがとうございました。